哄う合戦屋【これは歴史好きにはオススメです】 [石堂一徹]
今日は北沢秋のデビュー作「哄う合戦屋」を紹介します。
fuzzyとしては「小太郎の左腕」よりはこちらの方が面白いかな?と思いました。ただ、これは歴史好きの読むフィクション物としての見解であり、幅広いジャンルを読まれている本好きの方はもう少し内容の展開等が判断基準となるでしょう。ちなみに「哄う合戦屋」は実在した武将が出てきますので完全フィクションではありません。
「哄う合戦屋」のよかった所はリアリティという部分です。
主人公の天才軍師、石堂一徹は村上義清のもとで2,000石取りの家臣だったんですが、この村上義清っていうのがポイントですよね。武田晴信の部下だとちょっとウソ臭いし、信濃の猛将として知られた村上義清の家臣なら、なんとなくそういう武将がいたのではないかというリアリティ。
また、一徹は軍師なんです。つまり何人もの相手の兵士を一気倒せる超人的な忍者であったり、鉄砲の名手であったりではなく、主人の遠藤吉弘の軍監としてウソ臭くない軍略のみで戦いに勝っていくリアリティ。
最後に当初の遠藤吉弘の所領が3,800石で200名位の動員兵力という、信濃に多くいそうな小豪族の争いから始まるリアリティ。
「もしかしら実在していたのではないか?」的な話は完全フィクションの「小太郎の左腕」と並んで今後の戦国時代小説の新しい手法になっていくと思います。あ、あとお姫様もポイントです。
このリアリティの部分と史実をどううまくマージさせるかが今後の課題ですかね?物語の最後には小笠原長時、武田晴信が話の中に入ってくるのですが、そのあたりからウソ臭さが若干出てきたと思いますので。。とはいえ武田晴信の有名な部下が戦いの中で一切でてこないなど、実在した武将となるべく遠いところで話が展開するようにしていたのは実在武将と“近からず遠からず”を考えてのことだと思います。
この物語は天文18年春から天文19年夏までを四季により章立てしており、小笠原長時が塩尻峠の戦いで晴信に負けた天文17年夏で、長時の本拠地の林城が落城したのが天文19年夏なので、武田に攻められつつある混沌とした中信濃での物語の展開は史実に沿っており強引さがなく非常よかったのではないかと思います。
ネットで他の人の書評も見てみましたが、説明的な文章が多いという内容が多くありました。それは戦国時代をあまり知らない読者への理解度向上へのサービスというもの。少なくともこのブログをご覧になられている戦国好きの方はすんなり入っていけると思います。オススメです!
そして次回作も期待大です!!!
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主人公の天才軍師、石堂一徹は村上義清のもとで2,000石取りの家臣だったんですが、この村上義清っていうのがポイントですよね。武田晴信の部下だとちょっとウソ臭いし、信濃の猛将として知られた村上義清の家臣なら、なんとなくそういう武将がいたのではないかというリアリティ。
また、一徹は軍師なんです。つまり何人もの相手の兵士を一気倒せる超人的な忍者であったり、鉄砲の名手であったりではなく、主人の遠藤吉弘の軍監としてウソ臭くない軍略のみで戦いに勝っていくリアリティ。
最後に当初の遠藤吉弘の所領が3,800石で200名位の動員兵力という、信濃に多くいそうな小豪族の争いから始まるリアリティ。
「もしかしら実在していたのではないか?」的な話は完全フィクションの「小太郎の左腕」と並んで今後の戦国時代小説の新しい手法になっていくと思います。あ、あとお姫様もポイントです。
このリアリティの部分と史実をどううまくマージさせるかが今後の課題ですかね?物語の最後には小笠原長時、武田晴信が話の中に入ってくるのですが、そのあたりからウソ臭さが若干出てきたと思いますので。。とはいえ武田晴信の有名な部下が戦いの中で一切でてこないなど、実在した武将となるべく遠いところで話が展開するようにしていたのは実在武将と“近からず遠からず”を考えてのことだと思います。
この物語は天文18年春から天文19年夏までを四季により章立てしており、小笠原長時が塩尻峠の戦いで晴信に負けた天文17年夏で、長時の本拠地の林城が落城したのが天文19年夏なので、武田に攻められつつある混沌とした中信濃での物語の展開は史実に沿っており強引さがなく非常よかったのではないかと思います。
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この本、この間本屋で手にとって・・・ でも買ってないんですよね。
読みたくなってきました。
by ノリパ (2009-12-23 17:57)
ノリパさん、これはちょっとオススメの小説です。一徹のおかげで急に所領が増えた吉弘の一徹に対する心情の変化は面白いと思います。
by fuzzy (2009-12-27 01:12)